Skill_S03 of Rusutsu

☆ルスツエリアのソアリング技術と、クロスカントリー技術

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マヌーバーについて

マヌーバーとは、自分で故意にいろいろなキャノピーの状態を作り、フライト中に起こるさまざまな状態を想定し、その対応法を勉強するものです。
マヌーバーを行う前に、どうやってやるのかを知っておくとともに、このマヌーバーはどんなときに役に立つのかを知っておく事で、実際にその場面に遭遇した場合をイメージして行います。

また、生半可な知識でマヌーバーをやるのは、大変危険なことです。事前に操縦イメージをインストラクターに聞いて、理解してからトライしましょう。
それから「最初のマヌーバーは小さく」を心がけてください。適当に大きくマヌーバーをやると、キャノピーが潰れてしまいます。徐々に始めて下さい。
始める前に必ずインストラクターに確認をとってから始めて下さい。始める前に一度緊急パラシュートのグリップ位置を確認してから始めます。万が一のために林の上で行います。

ピッチング

ブレークコードをタイミング良く引き、ブランコのように前後に振幅運動するマヌーバーです。
始まりは、ブランコで前にこぎ出すイメージでブレークコードを脇の下まで引き、体が前に出て、止まる前にブレークコードを素早く上げます。
すると、キャノピーが後ろから前にシュートして、パイロットが後にとり残された感じになります。
そして又、前へブランコ状態で前進が始まります。次のブレークコード操作は、すぐには引き始めないで、パイロットがキャノピーの真下まで戻ってからブレークコードをだんだん引き始めるのがコツです。ピッチングの挙動に慣れる為に3回から4回くらいのピッチングで操作をします。
ピッチングを止める操作は、前に走ろうとするキャノピーを自分の前進速度に合わせるようにコントロールします。
タイミングとしては、後ろから前に来るキャノピーを真上に来たあたりでブレークコードを一度引いて、キャノピーの前進速度に適度にブレーキをかけ、パイロットの前進速度にちょうど合う速度に減速させて合わせるのです。
通常滑空よりも10度前後でキャノピーが前に出ているくらいの前進角度で、パイロットとキャノピーの速度が合うようにしてブレークコードを戻します。
何度か練習をすると、ブレークコードの1回の操作で、きれいに通常滑空に回復します。

ピッチングの練習は、初めのうちはせいぜい前後に20度くらいのピッチングで練習して下さい。

ピッチングのマヌーバーは、パイロットがキャノピーの大きな挙動になれるためです。
ピッチングを止める技術は、気流が悪くてピッチングに入った機体を、失速させずに止めることが出来るようになり、キャノピーのピッチングが原因で潰れてしまうのを防ぐ大事な技術です。

ローリング

イメージとしては、ピッチングをしながら向きを左右に90度変える操作です。体重移動と片方ずつのブレークコード操作をしながら、ブランコを横に揺するようなタイミングで行います。
ピッチングと同じように、振幅のリズムとブレークコード操作のタイミングが合わなければうまくいきません。(3次元の振り子運動を自在にコントロールする、レベルの高い操縦技術です)
まずどちらかに体重移動をして、その方向のブレークコードをお腹の位置まで引きます。45度向きを変えたら素早くブレークコードを解放する(上げる)事でキャノピーを前にシューティングさせます。
次に、パイロットが加速しているあいだに反対側へ体重移動を済ませて、速度が増したところで反対側のブレークコードを引いて、90度向きを変えます。(最近の初中級機のキャノピーはとても旋回性能がよいので、あらかじめの体重移動はせず、体重移動と同時にブレークコード操作をします。)向きを変え終わったらまた、素早くブレークコードを解放してシューティングさせます(ゆっくり手を上げるときれいなローリングに入りません)ブレークコードの引く度合いは、機体によって片方のブレークコードを脇の下からお腹くらいまで引きます。キャノピーの向きをしっかり曲がる方向に向けてやることがとても大事です。
操縦の左右のバランスが悪いと、どちらか片方に振れすぎて、繰り返しているうちに、だんだん方向が変わったりします。(あらかじめ遠くの景色の2カ所を90度の目標にして角度を決めると良いです)終了は、ピッチングを止めるように操作します。
注意としては、キャノピーの向きをしっかりコントロールして、常にキャノピーの正面に風があたるように旋回をします。
あまり向きを変えずに横方向にローリングすると、下になった側の翼端が一度潰れます。
ピッチングとローリングは、キャノピーを止める(安定させる)方法として、遠心力のバランスと機体の方向の調整で、旋回しながら止める方法もあります。

この練習は、スムーズな体重移動とタイミングのよいブレークコード操作を身につけバランス感覚を身につける大切な技術です。

両翼端折り

初級機は、両翼端折りの操作のためにA(フロント)ライザーが二つに分かれていて、外側のライザーだけを引く事で、両翼端折りが簡単にできます。

両翼端折りライザーが無く、なかなか折れない(安全性の高い)機体もありますが、いざというときのためにがんばって練習しましょう。
Aラインの一番外側のライン1本をなるべく高い位置を逆手で握る。その場で外側に手を返して、ラインを折る。そのまま下に引いてくる。これで十分に折れないときは、革手袋でラインを滑らせながら、さらに下に引き下げます。Aラインが4本ある機体は、外側2本で折ってもOKです。(最初は1本で練習)きれいに翼端を折ったら、かならずアクセルを踏んでください。
(キャノピーによっては、失速気味になる物もあるようなので、アクセルを踏むことが基本なのです、ブレークコードに手を通して持っている人は、その事も原因でさらに失速に入りやすいです)
そのまま体重移動でゆっくり左右に旋回してみましょう。意外とスイスイと旋回します。
両翼端折りは、アクセルを戻してから、初級機ならラインを放せばすぐに回復します。中級機以上のなかなか直らない機体はブレークコードを、大きくシェイクして、回復させます。
失速させないように落ち着いて片方ずつ回復させましょう。
早く降りたいとき、狭い着陸場に正確に着陸したいときなどは、両翼端折りをしてアクセルを踏み、体重移動で旋回をしながら着陸場をねらいます。高い位置から急角度で着陸地点をねらうことができます。着陸のフルブレークの時まで両翼帯折りをしたままでも良いですが、降下速度が比較的速いので、早めにゆっくりフルブレークを始めます。

気流の悪いときなど、キャノピーがさらに大きく潰されないためにも、ランディングの少し前まで両翼端折りをしたまま降りたりもします。
クロスカントリーに出かけた時などは、たいてい狭い場所に着陸します。最後のフルブレークの時まで両翼端を折ったままでフルブレーク操作をするスポットランディング技術も必要なのです。

片翼折り(片翼潰し)

以前はDHVテストのように、潰す側のブレークコードを持たずにAライザーを真下に勢いよく引き、翼を50%以上潰していましたが、最近では、潰す側のブレークコードを持たずに、Aライザーの外側1本か2本のラインを出来るだけ上の方を持って引くことで30~40%の片翼潰しをします。
潰し終わったらすぐに放します。この操作は、大きな挙動もなく、まもなく回復します。
初級機は、潰れた側のラインを解放すると、すぐに回復しますので効果的な練習はできませんが、中上級機は、あて舵(回復させようとする操作)をせずに、旋回に入っても自然回復を待つ事で、潰れの挙動に慣れることが大事です。(ブレークコードを放す理由は潰す動作の時に引かないようにです)

片翼折り(直進飛行)

中級機で片方の翼端側のAライン1本を引き、翼を30%程度潰します。その後、機体をまっすぐ走らせるために潰れていない側のブレークコードを少し引きそのまま真っ直ぐ飛行をします。この時、ブレークコードはあまり深く引かないよう注意します。失速の原因になります。
上級機では、片翼が折れた状態で直線飛行をしようとすると、いつまでも翼端が回復しませんし、失速の危険がありますので、やめてください。(そのまま旋回に入れながら速度をつけて回復させます)

スパイラルについて

スパイラルは、普段の飛行技術として覚えなければならない技術ではありませんが、練習は注意深く行う必用があります。(JMBルスツでは、スパイラルはマヌーバーとして必要ないと考えています。)

スパイラルは急旋回しながら降下するパフォーマンスです。
初めは1回転以上旋回させながら入れて下さい。最近のキャノピーでは1回転で入れられますが、フラットスピンに入る事がありますし、ローリングから入れようとすると、バーチカルスピンに入ってしまう可能性があります。
また、いきなりGを感じるので、慌ててブレークを戻してしまう人がいますが、これは激しいピッチングなどを伴い危険です。慣れないと旋回中に周りの景色を見る余裕がなく、高度の感覚を失います。インストラクターの指導の元に、徐々に回転数を増やして、慎重に練習しましょう。

普通の旋回操作を始めます。
回転速度がついてから、パイロットに遠心力を付けるつもりでわずかづつ段階的にブレークコードを引いてだんだん旋回をきつくしていきます。
徐々にパイロットが遠心力で外側にふくらんで、あるところから急にGがかかり、内側の翼端がパイロットの高さまで下がってきて、ある程度安定したスパイラルに入ります。
この状態で内側のブレークコードは、あるていど戻した状態にしています。
DHVクラスⅠのキャノピーは、両方のブレークコードを戻していれば(万歳の状態)スパイラルから回復しますが、それ以上のキャノピーは、いつまでもスパイラルが続きます。
さらに深いスパイラル(-10メートル以上)に入れるには内側のブレークコードをさらに引きます。キャノピーの角度で45度位を目安にしますが、旋回中、左右のブレークコードの微妙なコントロールが秒単位で必要です。(速度やGも強くなり、バリオメーターを見る余裕はありません)
回復は、まず、体重移動から戻し始めてから徐々に外側のブレークコードを引き始めるのが一般的です。(最近のスタント設計のキャノピーなどは、深いスパイラルでも安定していて、回復もブレークコードからだったりします)
回復操作では傾きが回復し始めると、ある所からキャノピーが急に頭上に戻ろうとしますので、穏やかな回復をさせるために旋回内側のブレークコードを強く引いて旋回を維持し、ゆっくりと穏やかに旋回させながら戻します。(スパイラルの回復操作の時、この回復操作ができないと、スパイラルからの強烈な前進速度を吸収されない為、激しいピッチングに入り、とても危険です)
初めての練習は、スパイラルに入れて、Gを感じた所で(まだあまり飛行速度が出ていないうちに)回復させましょう。
後で話をしますが、ローリングしてからスパイラルをすると危険です。バーチカルスピンになってしまう可能性がとても高いのです。スパイラルに入れやすいのですが、間違った知識です。

スパイラルは、高度が300メートル以上必要な危険なパフォーマンスです。スピーカーが内蔵されたよく聞こえるヘルメットをかぶり、必ずインストラクターの指示のもとで行ってください。

これまでキャノピーやハーネスの変化に伴い、テイクオフやマヌーバーの基本動作も1~2年おきに刻々と変化してきました。JPA公認スクールでは、DHV教育部門(クラウス、イルシック)からの指導の元、きめ細かい指導が行われています。

バーチカルスピンについて、

スパイラルの説明の中にあります「バーチカルスピン」についてお話しします。
スパイラルのように回転しながら降下していく状態ですが、キャノピーが頭の上にある状態ではなく、ほぼ真下を向いていて、キャノピーとパイロットが向かい合っているような姿勢になるのです。
よく見ると、回転の中心がキャノピーより内側にあって、互いに遠心力で釣り合っているように感じます。(アクロバットで行うサットは故意に操縦をしなければ入りませんが、同じように互いに遠心力で釣り合って、キャノピーとパイロットの向きは下向きではなく横向きの回転です)
もう少し詳しく説明すると、キャノピーの揚力と、キャノピーの重さにキャノピーの中にある空気の重さ、(1立方メートルを1.29㎏の質量として)おおよそ6㎏前後がプラスしてパイロットと遠心力で釣り合い、回転軸が互いの内側になる理論が成り立ちます。
それは、水平方向に回転するサットでもほぼ同じ理論です。
サットは、スパイラル中の落下速度を強引なコントロールによって逆向の水平方向の回転にするために、キャノピーの揚力が速度の2乗で増大し、パイロットが後ろ向きになる回転軸が出来るのです。

バーチカルスピンは、ローリングからスパイラルに入れようとした時や、ローリングの失敗、大きなつぶれによって瞬間的にキャノピーの位置がパイロットの横に来てしまったとき等、旋回エネルギーにパイロットのロールエネルギーがプラスされた時にバーチカルスピンに入りやすくなります。
降下速度がつく前であればブレークコード操作で回復は可能ですが、そのままにしていると降下速度が増してきて、自然回復もしませんし、回復操作はかなり困難になります。
ブレークコードや、Dライザーを引く操作で(どちらも非常に重い)、うまく回復が始まったとしても、その後の激しいピッチングなど、次の危険な状態を確実に回避する技術が必用です。
迷わず緊急パラシュートを出す事をお勧めします。

ルスツパラグライダースクール校長 
青木章市
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