パラグライダーの基礎技術と、ルスツのエリアの特徴についてお話しします。

ルスツ高原は、その平野がおよそ海抜400bの大地です。気候や気象がとても良く、太平洋(噴火湾)からの海陸風がルスツまで入るため、とてもフライト確率が高い、比較的天候が安定しているエリアです。ホントです!
地形が単純なため、橇負山(そりおいやま)海抜700bでのフライトは安心感があります。
加えて、広い着陸場と、あちこちにもうけてある緊急着陸場が、いざというときに役立ちます。

ルスツは地形や環境設備が、全国的にもとても恵まれたエリアです。
近年は、パラグライダーの性能や安全性も驚くほど向上し、上昇気流に乗って2000bを超えて上がっていったり、最近では、ニセコや洞爺湖まで飛んで行く人や、ルスツから20q以上飛んでいくパイロットがいます。(それ以上は山奥になるので行けません)

機体のクラス分けによる知識

各メーカーの機体は、初級機・初中級機・中級機・中上級機・上級機・コンペ機 といったカテゴリーに分類されるものを4〜6機ラインナップされています。
種類による違いはありますが、上級になるほど扱いは難しく、腕に見合ったクラスに乗らないと危険なばかりでなく、フライトが楽しくなくなります。背伸びをするのはやめましょう。

尚、パラグライダーの安定基準にはドイツのDHVとヨーロッパ統一規格のAFNORという規格があります。それぞれ厳格なテストのすえにクラス分けがなされますが、これらのデータは、機体の安定度や、キャノピーが潰れたときの回復性などを数値評価しています。
機体の総合性能のひとつの目安になりますが、各機体によって、いろいろな癖などがありますので、機種選びはインストラクターに相談して購入して下さい。
数年前までは「いつかはコンペ機(競技用の良く飛ぶ性能の危険な機体)」という風潮がありましたが、最近は機体の性能が全体的に上がってきたこともあって「中級機で、リラックスして飛びたい」とか「大会には出るけど中上級機で十分」というパイロットがほとんどです。

初級機

立ち上げ(ライズアップ)が、ゆっくりバランス良く上がって、頭上で自然に止まるようにつくられていますし、あまり傾いたりしないように設計されています。(離陸が安定して楽に行えます)
旋回はブレークコードの操作だけでも十分できます。
リッジソアリング(山の斜面に吹き付ける安定した斜面上昇風に乗って、いつまでも飛んでいる技術)では、速度がゆっくりという特性を生かし「上がるところに長くとどまる」ことができ、上級機とあまり性能差を感じません。
熱上昇風を利用したサーマルソアリングにおいても、上昇速度はほとんど変わりませんので、安定した上昇を楽しむ事ができます。

初級機はなにが不利かといえば、滑空比の違いです。とくに風が強いときに風上に向かうときには飛行速度も少し遅いので、あまり前に進まないうちにだんだん高度が無くなってきます。
初級機の良いところを生かして、技術を磨いて下さい。


中級機

一般的な傾向で言うと、立ち上げは、途中から揚力が大きくなり、一度持ち上げられたりもします。
修正の反応もある程度敏感なものが多く、技術が必用です。
風の強い時は後ろに下がりながらしっかり頭上に止める練習をしましょう。
旋回はブレーク操作に敏感に反応する気体や適切な体重移動をしないと曲がりにくい機体などがあります。それぞれの機体を理解して操縦して下さい。
また、滑空速度が速くなる分、潰れなども少し起きやすくなります。ブレークコードの操作による失速も初級機より少し速く始まります。
初級機では、安心してフルにアクセルを踏める気流の状態でも、中級機以上では、アクセルを踏むとともに潰れやすくなるので、気流が悪い状態では、用心してアクセルを踏んで下さい。
キャノピーが潰れても墜落するわけではありませんが、感じの良いものではありません。

上級機以上になると

滑空比と滑空速度において高い性能を持っていて、まさに大会を戦うための機体です。
どんな特性があるのか、癖や特徴を熟知した操縦が必用です。ライズアップの難しさや、飛行中の潰れも、覚悟の上で飛んでいます。限られた人しか乗ってはいけない機体です。
上級機をサンデーフライヤーが乗って、楽しいかどうかは疑問です。

機材選びや、メンテナンスについて

ヘルメット

選ぶときのポイントは軽くて頭にフィットしている事、視界がいいことです。内蔵されたマイクとスピーカーで無線がちゃんと使えるか確認しましょう。とくにマヌーバーをする時には、ヘルメットにマイクとスピーカーを内蔵したもので飛ぶ事がベストです。
無線機本体のスピーカーで聞いている人は、風きり音で聞こえないときがあるので、安全のために早めに取り付けましょう。

シューズ

パラ専用シューズは、足首を保護するためハイカットデザインになっています。ラインを引っかけないよう、編みヒモ部分はフックではなくリングを使っていたりカバーされたりしていて、草などで滑りにくいソールが採用されているなどの特徴があります。
スニーカーなどでは捻挫をしてしまいますからなるべく専用シューズに近いものを選びましょう。

レスキューパラシュート(緊急用パラシュート)

レスキューパラシュートは、体重(装備重量を含む)に合わせて大きさを選んで装備します。
大きめの物を装備していると、いざというときに、落下速度がゆっくりで降りてきますから、着地の衝撃が少なくて済みます。
レスキューパラシュートのリパックは5ヶ月ごとに実施するよう指定されています。5ヶ月ごとはちょっと大変ですけど、最低毎春にはリパックしましょう。
レスキューパラは「命綱」です。長くリパックをしていないと、開傘が遅くなります。2年以上もやっていないと、最後には開傘しなくなります。
レスキューパラシュートの寿命は、使用状態にもよりますが、DHVのテストでは7年から8年といわれています。(10年経過したレスキューパラシュートの落下テストで、完全に破れてしまったDHVのビデオを見ました)

機体の保管

機体を傷める要因は、おもに「紫外線・摩擦・折れ・湿気」です。飛び終わったら、紫外線を当てないために、テキパキかたづけましょう。
日陰で風通しのいいところに保管する。(車に積みっぱなしは、あまり良くないのです)
あまり小さくたたまない方がよいです。
できれば普段は袋から出して広げておくほうが理想で機体は長持ちします。
濡れたままで袋から出さずに暖かい所に何週間も置いておくと、カビが発生している事もまれにあります。
最近の機体には、リーディングエッジ(翼の前の部分)に、厚みのあるマイラークロスや、翼のふくらみに沿って、30センチほどの柔らかいプラスチック棒が入っているものがあり、たたむ時には、ていねいにアコーディオンのようにたたむ人も増えています。

それから、無線機やバリオメーターなども湿気にはとても弱いようです。汗で塩分を含んだヘルメットと一緒に保管するのは良くないのです。
気を付けて下さいね。

ラインの被覆

パラグライダーのラインは、芯材と被覆で構成されています。芯材は引っ張りに強いですが、こすれや、折れには弱いのです。被覆はこすれには強いけれども、伸び縮みがあります。
被覆が傷んでもラインの強度はほとんど変わりませんが、被覆が切れている箇所は芯材も切れやすくなります。ときどき被覆が切れていないか、芯材が折れ曲がっていないかをチェックしましょう。

ラインの縮み

材質によって大小はありますが、ダイニーマラインもケプラーラインも、年数の経過とともにラインは少し縮みます。
パラの飛行時にラインにかかるテンションはそれぞれ場所によって違うので、縮みも場所によって違います。どうなるかというと、キャノピーが設計時の形と違ってくるために少し性能が落ちます。

パラグライダーのキャノピーは、ラインを含めた機体検査で、航空機と同じように6Gから7G以上の破壊検査に合格しているものが市販されています。

最近、安全試験や破壊検査を行っていないメーカーが少し出てきていて、販売しているスクールがありますので、要チェックです。

☆ハーネスの調整について

ハーネスは、調整が悪いと、飛んでいる時に不安定で体重移動がしにくかったり、座り直しがしにくくなったりします。インストラクターに、どこをどう調整したら、どのようになるのかを聞いて、シミュレーターでいろいろ調整してみましょう。ずいぶん変わります。
尚、ハーネスの各調整ベルトは、何回か飛んでいるうちに少しずつずれてしまいますので、離陸する前にその都度確認します。
ちなみに、調整し終わったら、各ベルトを軽く縫いつけたり、ガムテープのような物でずれないようにしている人もいます。

肩のショルダーベルト

ショルダーベルトで高さを調整しましょう。これが緩いと立ち上げのときにハーネスが遊びますし、正対で走るときにじゃまになります。
目安はショルダーベルトが少し肩に食い込む手前くらいで、レッグベルトが股関節まで来るようにします。
ゆるんでいると、離陸の後の座り直しや、アクセルを踏む時にも影響が出ます。

股のレッグベルト

ハーネスに手を通して、おなかのチェストベルトとレッグベルトを付けます。レッグベルトの調整は、ふとももを締め付けない程度にして走りやすいようにです。ゆるめすぎると、ライズアップの時に、ハーネスが定まらないのと、離陸の後の座り直しがスムーズに行きません。

おなかのチェストベルト

チェストベルトは狭ければ安定して広げれば体重移動がしやすくなります。ただし、極度に狭いのは左右のライザーのツイスト(フラットスピンなどの)原因になる事と、着陸の時にお腹が押し戻されてハーネスからおしりを抜いて立った姿勢をとっても、足が持ち上がった姿勢になってしまいます。
最初はシミュレーターにぶら下がり、カラビナとカラビナの幅でSサイズで38センチ、Mサイズで40センチ、Lサイズで42センチが基本です。なれてくると、少し広めに設定しているパイロットがいますが、調整は気流が荒れているときを想定して調整してくださいね。

クロスベルト

クロスベルトの調整は、シミュレーターにぶら下がったまま体重移動をしてみて調整します。目安は最大に体重移動したときに、クロスベルトが張る程度です。なお、チェストベルトを調整し直したら、クロスベルトの調整も変わりますので、あわせて調整してください。
最近は、クロスベルトの付いていないハーネスが主流になっています。

両脇腹にあるリクライニングベルトやシットベルトもシミュレーターにぶら下がって、調整します。
目安はハーネスに背中を預けることができる位に後継して、前方を見渡せる状態です。
シットベルトは浅く調整すると、カラビナに対して重心位置が高くなるので、不安定になります。 ベテランになると、より後傾した姿勢で飛んでいます。かっこよさと空気抵抗の軽減を図っていますが、姿勢が前後に延びて、パイロットのモーメントアームが長くなった分だけパイロットの動きがキャノピーの挙動に着いていけず、少し不安定になります。

エアバッグハーネス

最近はあまり見なくなりましたが、衝撃吸収のシステムで、離陸直後に飛行するラム圧力でハーネスの最前部にある大きなインテークポートから風が入り、ハーネスの中に空気室ができ、万が一の墜落の時にゴムまりのような役目をして衝撃を吸収します。
メリットはとても軽くできている事と、ザックに収納の時、とても小さくなって良いです。
デメリットは、なぜかどのメーカーの物もエアバッグの部分がとても大きくディザインされていて、着陸するときに、足より先にハーネスが地面をこすります。
もう一つは、エアバッグ部分が大きいために空気抵抗が大きく、滑空性能がかなり悪くなる事と、ピッチングに入ったときなどの自然回復が少し悪くなります。
過去のDHVからの報告では、エアバッグハーネスを使用した回復特性については、クラス1のキャノピーが1−2になったり、クラス2のキャノピーが2−3になったりしたそうですから、ランディングまでの距離が短いエリアで、滑空性能を気にしないクラス1のような初級機でのみ使用する事をお勧めします。

改良型のエアバッグハーネスが出てきています。衝撃吸収ムースとエアバッグのハイブリット型です。エアバッグ部分が適度に小さくなってとても軽くできていました。ザックに収納もとても小さく収まっていました。

注意

レッグベルトの閉め忘れによる死亡事故が過去に有り、JMBスクールでは2000年より、Tバックルハーネスなどの、墜落防止システムの付いたハーネスで無ければ、飛べない事にしています。
安全、事故防止のためにご協力をお願い致します。

JMBルスツパラグライダースクール校長 
青木章市 



HOME  TOPへ  戻る